城に着くまで雑魚にすら出会わなかった。逆にその静けさがかなり不気味ではあったけど。

城内も同じで、悪魔も雑魚もいない。迷路みたいでずいぶん迷った。

最深部。

だだっ広い王の間。

天井も高くて、ただ血のように赤い絨毯が一面敷き詰められていた。

突き当りにふたつ並んだ巨大な玉座。

それぞれ、悪魔が座っていた。

「ようこそキラレンジャー。

 私がサタンだ」

サタンがにやりと笑みを漏らす。

長い黒髪、青い顔、鋭い牙。尖った両耳、その上から生えた黒い立派な角。マントで全身を覆っていて、背中に大きな悪魔の羽がある。

「オレはルシファー。
 魔王サタンのシャドウさ」

ルシファーは、サタンと瓜二つだった。違うのは、サタンの黒いところが灰色になったくらい。

どちらもただ座っているだけですごい邪気を放っている。

そしてルシファーのうしろに、くくりつけられているのは

「春風!」

哲平は叫んだ。返事がない。あちこちの傷が痛々しい。