一気に話して疲れた。


「…そうなんや…―なんも知らんでごめんな…―」


「べつに昔のことどうも思ってないし」


「……俺片親やねん。俺が7才のときに親父がトビの現場で落っこちて死んでん。それからは母ちゃんが必死で働いた。俺と妹を食わせていけるように。母ちゃんにはすごい苦労かけたと思ってるから手に職つけなかあかんと思って、美容師なって大阪から上京してん。…妹とは2つ離れとったけど仲良かった。けどその妹も事故で死んでん。17で。母ちゃん俺の前で泣かないんよ。親父死んだときも真奈美が死んだときも。……だからこれからは少しでも良い思いさせてあげたくて東京で美容師頑張ってん。ほらこれ」


そう話すと一冊の雑誌を私に渡した。
そして咳をしながら反対側を向いて寝てしまった。