『読んだ?』
『うん…』
『えっと…返事は?』
『え…あの、その前に色々聞かせて』
あたし、何言ってんだろ。
頭の中、真っ白なのに『色々聞かせて』なんて。
『なんで、あたしなの?』
とりあえず思いつく言葉をしゃべる。
『あたしなんてブスだし、口下手だし、
おもしろくないし、とりえなんて…何もないよ』
そうだよ…なんかのドッキリだよ、絶対。
みんながおもしろがってやってるんだ。
そう思ったのに、
『永易さんはみんなが嫌な仕事も全部一人で
背負おうとしてた。何事にも一生懸命なところが
永易さんの十分なとりえだよ。』
ドッキリなんて…疑ってたのがバカバカしくなるくらい
小河くんは真剣な目でそう言った。
嬉しかった。
誰かにそんなこと言われたことなかったから。