後輩と思われる男子が私を見る。
「先輩、ですよね? 名前は何ですか?」
「……白井桜って言うの」
「えーっと……桜先輩ですか。俺は森山空我です!」
空我くん――……。
心の中で、何度も呟いた。
「空我くん……いい名前だね! うーん…『我は空』……って意味かな」
私が言ったその言葉に、空我くんは目を丸くした。
「は、い…。そっ、そうなんです! 空のように広くて、青く澄んだ心を持つようにって……」
最後の方は、照れたように言って。
その姿に、キュンッ
「俺、結構この名前……気に入ってるんです!」
笑顔でそう言う空我くんに、私もつられて笑顔になる。