───ここは何処?君は誰?


 そう言おうとした。が、無理だった。くすんだ色をした、細い目が閉じたかと思うと、俺の口をそいつのそれが───…


「ってぅおぉぉぉぉいっ!?」

「おぉ。起きた。」


 危ない。夢のシチュエーションと似すぎて、思わず受け入れるところだった。


「何すんだよ!?」

「死んでんかと思うて。…人工呼吸?」


 一切悪びれずに、笑いながら話す男性の口から飛び出す関西弁が、少しずつ俺の調子を狂わせる。


「寝てるだけだよ!!アホじゃねーの!?しかも目開いてたし!?」

「えぇやないか別に。ギリギリチューはしてへんわ。」

「はぁ!?」