「…は?」

「流樹にとって私は、その程度の存在なんでしょう?」

「何言って…。」


 想定外の展開だったらしい。男性はさっきにも増してしどろもどろになっている。


「…もう別れよう。」

「は!?そんな…待てよ!寝坊ぐらいでそんな「寝坊ぐらい?」


───しまった。


「私は、一秒でも長く流樹と一緒に居たくて、30分前に来たのよ!?それに、可愛いって言って欲しくて、頑張ってオシャレしてきたっていうのに、流樹は3時間も遅刻して来るし、寝癖全快だし、しかもパジャマだし!!」


 返す言葉がなかった。


「その上、最近はメールしてもほとんど返信くれないし、電話したって出てくれないし!!」

「でも…。」

「でも何!?」

「俺は亜魅を愛して「嘘吐きは嫌いなのよ!もう今後一切、私に関わらないで!!」

「亜魅っ!?」


 男性は地面に正座したまま何も出来ずに、ただ女性の後ろ姿に呼びかけた。