天然パーマがくるくる揺れている。この女性、相当怒っているらしい。


「…3時間半…ですね…。」

「この馬鹿あぁぁぁぁっ!!」


 頭を鞄で、高らかな音と共に殴った。


───…どうでもいいけど、この角度だとスカートの中が…いや、やめよう。まだ死にたくない。


 懲りない男である。


「すみません。今さっき起きました。」


 男性は素直に白状した。


「そんなの見れば分かるわよ!!」


 しかし女性は、容赦してくれなかった。


「…そんな寝癖…しかもパジャマだし…。」


 そんな女性の呟きを聞きながら、男性がどう謝ろうかと、必死で頭をフル回転させているとその刹那、


「…もういい。」


 男性の上から、寂しさを帯びたような声が降ってきた。