散々ためておいて、回答権をなんと父に譲った。

 がっくりと肩を落とす俺を知ってか知らずか、佐吉は意気揚々と話し出す。

 さっきまで怒鳴っていた娘に、名前を呼ばれたのが相当嬉しかったらしい。

 ………てゆうか"パパ"って…。


「此処は、"雲の上の所"て言うんやけどな。」

「…雲の上の所?」


 眉間のしわを深める俺に、佐吉は嬉しそうに、話の続きを促させる。


───雲の上…?てことはまさか…。


「おぅ。せや。まぁ簡単に言うたら、天国みないなもんやな。」


 見事に予想が的中した。


「まんまじゃねーか!?」


 ネーミングセンスが無さすぎる。