夢の中で見た、吸い込まれそうな大きな目は、なんと実在するものだった。

 そして、その目の持ち主は、今、この俺の目の前に居るのだ。


「な…何で…?」


 パニックになっていた俺は、鼻と鼻が触れ合いそうな近距離に、彼女がゆっくりと歩み寄ってきたことに気が付かなかった。


「…おい。」

「ぅおっ!?」


 気が付くとさっきよりも近い…いや、近すぎる所に居たものだから、俺は声を上げながら、慌てて距離を取った。

 そして、心臓の音が周りに聞こえていないかと心配する俺に、彼女は呆れたような顔をして、こう言い放った。


「アンタ…そんな若いのにもう死んだん?気の毒になぁ。」

「は?」


───死ん…だ…?


「何ぃぃぃぃぃっ!?」


 それは、自分でも驚く程の大絶叫だった。