無人の駅。時計は6:57.あと3分。


俺は友愛への手紙をホームに置き、また切符を眺めた。


母「圭太、何してるの?」

圭太「ん?手紙。友愛への。」

父「そっか。別れるんだよな。ごめんな。」

圭太「別に。父さんは関係ないよ。」


また静かになる。雨の音がこの空気にこだまする。


と、手に持っていた切符をまた見た。


このちっちゃい紙切れが、友愛と別れなくちゃいけなくなったもの。


別れざる負えないもの。


<プシュー>


電車が来た。中には人がほとんどおらず、貸切状態だった。


母さんと父さんの座席から少し離れた座席に座った。


そして窓の外を眺めた。


電車の中はどこか懐かしいにおいがした。


冬の凍えきった体を温めてくれた。


電車が動き出した。友愛との距離が動き出した。


俺らは時間にも距離にも勝てない。何度も何度もそう思った。

 
電車の窓から見えるいつもとどこか違って見えたあの街は、


涙でにじんで歪んで見えた。