「俺、理系だからあの時の上手い切り抜け方が分かんなかっただけだし。 サヤ子が関係ないわけないっしょ。だから・・・シカトすんな。壁作んな。敬語使うな。苗字で呼ぶな」

 「全然意味分かんない。そして注文多すぎ」

 サヤ子が俺の胸に顔を埋めて背中に手を回した。

 ヤ子の顔を見ようと身体を離そうとすると、サヤ子は力を強めて更に俺にくっついてきた。

 サヤ子が鼻をすすってるのが分かった。

 サヤ子は泣き顔を見せる事が嫌いだ。

 涙目のサヤ子は見た事あるけど、泣いてるサヤ子は数える程しか見た事がない。

 女の涙なんて、すげえ破壊力のある武器なのに。もったいない事するよなーと思いながら、サヤ子の頭を撫でた。

 そんなサヤ子が、やっぱり好きで好きで、大好きだ。

 「マジですいません。あんな言葉でサヤ子がこんなに傷つくって思わなかった」 「傷つくよ!! お見舞い来てみたら、桜井先生と青・・・翔太が顔くっつけ合ってるし、思い出のキーホルダー、ポケットに入れて持ってるし、『関係ない』って言われるし。 ・・・本当に帰りたくて帰りたくて、帰りたかった」

 どんだけ帰りたかったんだよ、サヤ子。

 さっきの国語力はどうした??