「サヤ子が・・・「ごめんね。嫌なのに無理に話させようとしてすみません。 ・・・でも、手は放してもらえませんか?? ・・・首が痛いです」
俺の話を遮り、『放す』っと『話す』をこんな状況でも上手い事かけてくるサヤ子が、涙目のまましたり顔をした。
泣きそうなドヤ顔って・・・サヤ子、なかなか高度。
サヤ子の顔から手を放すと、サヤ子は本当に痛かった様で、首を摩りながら苦笑いした。
「・・・『他人のプライバシーは守る主義』とか言っておいて、いざ『関係ない』って言われると切なくなるもんですね。私、ダサイくせにカッコイイ事言ってみたかったんです。結局尚更ダサくなるハメになりましたけど。・・・やっぱり私は青山先生の特別にはなれない」
「なれるよ!! なってるよ!! サヤ子は会ったときからずっと特別だったよ。さっきから何言ってんの?? サヤ子」
サヤ子の二の腕を掴んで前後に揺らす。
「関係ないって言ったじゃん」
俺があまりにも揺らすから、バランスを崩したサヤ子が倒れそうになるのをいいことに、そのまま抱きしめた。