「俺、心配なんで追いかけます」
やっぱり優しい安田は、瑠美を追って部屋を出て行った。
「私も5分経ったら帰りますね」
朝倉先生が腕時計に視線を落とした。
朝倉先生の言葉に首を傾げる俺に、朝倉先生が『なんで分かんないかなー』と呆れる。
「私が今出て行って、あの2人と鉢合うわけにいかないでしょうが」
と、言われてもやっぱり分からない俺に、朝倉先生が面倒くさそうに続ける。
「こんな時、何だかんだでやっぱり同性より異性に慰めて欲しいもんでしょ。それが安田みたいな優しいイケメンだったら、桜井先生の傷も少しは癒えるんじゃないかと思って。邪魔したくないじゃん」
『しっかりやれよー、安田』と安田が出て行った玄関を見つめる朝倉先生。
やっぱり朝倉先生はいいヤツだ。ただ、辛辣なだけで。
「朝倉先生って、言う事厳しいけど見た目も中身もいい女だよね。言う事厳しいけど」
サヤ子が朝倉先生に微笑んだ。
「いい女な事は知ってます。サヤ子先生だって、まぁまぁいい女ですよ。てゆーか、『言う事厳しい』をなぜ2回も言ったんだ?? 感じ悪」
強気な事を言いながら少し照れる朝倉先生。