「・・・お前らには関係ない話だろ」
俺が言い放った言葉に、サヤ子の血の気が引いたのが分かった。
「・・・ばっかじゃないの??」
朝倉先生が俺に向かって言い捨てた。
「なんで答えないの?? 桜井先生はトドメ刺して欲しいんじゃないの?? どうせその別れ話で、変な優しさ見せたりしたんでしょ?? 青山先生アホだから。そんな事されたら諦めきれないでしょうが。それとも、いつまでも自分の事好きでいて欲しかったとか?? 別れ際の無駄な優しさは残酷なだけ。余計に傷つく」
朝倉先生は本当に可愛い。そして本当に口が悪い。でも、正論しか言わない。
そうか、俺は『嫌なヤツ』になりたくなくて、綺麗事を言っていただけなのかもしれない。
「・・・もう、好きじゃない??」
瑠美が俺を覗きこんだ。
好きじゃなくなるわけがない。でももう『そういう好きじゃない』なんて言ってはいけないと思った。
「・・・うん」
小さく頷くと『・・・うん、分かったよ』と言って瑠美は走って玄関を出て行った。