「かわいい事言うねぇ。サヤ子センセってなんかほっとけないタイプだよね」
安田が今度はサヤ子の頭をクシャクシャと撫でた。
「私、『お前はひとりで生きていける』って言われて捨てられた事ありますけど」
安田に言い返すサヤ子。
会わなかった10年間に、サヤ子にだって彼氏がいたのは当たり前なわけで・・・。
でもやっぱり、サヤ子と元彼とのやりとりなんか聞きたくなかった。
「うん、サヤ子センセはほっといてもひとりでたくましく生きて行けるタイプ。
でも、ほっといたらひとりで傷つきながら姿消しちゃいそう」
安田の言葉にサヤ子は少し苦笑いを浮かべた。
「私、すぐ逃げるしね。でも、今まで逃げた道はどれも正解だった。留学も、転職も」
「転職、後悔してないんだ?? こんな状況なのに」
安田の意地悪な質問にサヤ子が寂しそうな表情をした。