遅れて俺も中へ入ると、サヤ子の手首を掴んだままの朝倉先生と目が合った。

 「野菜スープ作ってきたんですけど、温めますか??」

 「イヤ、今お腹空いてないから後で食う。どうもありがとな」

 「じゃあ、冷蔵庫入れときますね」

  朝倉先生はサヤ子の腕を放すと、キッチンへ行った。

 朝倉先生から開放されたサヤ子が、小さく溜息を吐いたのに安田も気付いた。

 安田は朝倉先生に『これも一緒に入れといて、ぬるくなったから』とポカリを渡すと、サヤ子の隣に行きサヤ子の肩をポンポンと叩くと、いつもの可愛い子 スマイルを向けた。

  安田はきっと、サヤ子がまた朝倉先生に捕まらないように傍に行ったのだろう。 サヤ子は安田の笑顔に引っ張られるかの様に少し笑うと、小さな声で『私、今日もダサイ』と言って下を向いた。