何時間眠っただろう。眠気が浅くなり、寝返りを打とうとした時、玄関のチャイムの音に気付く。

 学校、終わったのかな。もうそんな時間なんだ?? 俺、だいぶ寝たなー。

 安田たちが来たのだと思って、インターホンに出ずに玄関のドアを開けた。

 「悪いな、安・・・瑠美」

 そこにいたのは、俯いた瑠美だった。

 「・・・具合悪いって聞いて・・・。心配で・・・。大丈夫なの??」

 申し訳なさそうに聞く瑠美は、きっとここに来る事を迷ったのだろう。

 別れても俺なんかの事を心配してくれたんだ・・・。

 「もう平気。1日中寝てたから」

 「熱はもうないの??」

 心配そうに俺を見上げる瑠美。

 そういえば計ってない。つーか、体温計どこに片したか忘れたし。

 「多分。計ってないから分かんないけど」

 「・・・翔太、まだ熱あるんじゃない?? Tシャツぐしょぐしょだし、着替えた方がいいよ。ちょっと、顔下げてみて??」

 何も考えず言われるがまま顔を下げると、俺のおでこに瑠美が自分の額をくっつけてきた。







  「・・・玄関前で何してるんすか??」

  安田の声に、慌てて瑠美から顔を離す。

 ・・・なんでこのタイミングで。

  眉間に皺を寄せる安田の隣で、サヤ子は俺と目を合わせようとしなくて。

  朝倉先生だけは『桜井先生みたいな女、嫌いじゃないなー』と意地悪な顔で笑っていた。

 ・・・なんかもう、悪い予感しかしない。