この日サヤ子は、仮眠をしながら朝まで俺を看てくれて、一旦アパートに戻って着替えてから学校に行った。




 『始業式早々、風邪で休みって・・・どんだけ浮き足立ってんすか』

  始業式が終わった頃、安田から電話が来た。

  「浮き足立ってた事は否めないけどなー」

  『否めよ』

  実は、サヤ子と付き合えたその日に、アメリカから安田に報告の電話を入れたくらい足は浮きまくっていた。

 その時も日本時間など考えもしない程に、足が地上から2~3cm宙に浮いていただろう俺は、森田同様安田にも相当ウザがられた。

 でも、安田にはいち早く報告したかった。

 当て付けとかではなくて、安田と飲んだ時から、安田の事が大好きなわけで。ただ単純に安田に聞いて欲しかった。

 安田もサヤ子が好きなのに、とんでもない時間に、安田にとってはろくでもない話をされて迷惑もいいとこだっただろうに、安田は『俺は切り替え上手い方じゃないので全く祝福出来ないけど、青山先生を選んだサヤ子センセを後悔させないように、今度こそ青山先生が後悔しないように』って言ってくれた。男前過ぎる。男前って過ぎる事があるんだなってあの時思ったし。