「・・・いいのに。サヤ子に見られて困るもんないし」

 「私が見たくないの。翔太と桜井先生の思い出とかに触れて嫉妬したくない」

 サヤ子が悲しそうにぎゅうっとスプーンを握った。

 サヤ子、この部屋居心地悪いのかな。俺だって、サヤ子と元彼との思い出を知ったら、やっぱり嫉妬するだろうしな・・・。

 「サヤ子、引っ越して一緒に住まない??」

 「え??」

 サヤ子が俺の口に運ぼうと、ゼリーを掬ったスプーンを持つ手を止めた。

  「サヤ子が色んな棚を普通に開けれるように、新しい家具とか買ってさ」

 「イヤイヤ、教師が同棲はダメでしょ」

  結婚どころか同棲までもあっさり断られた。

 さすがに不安になる。

 付き合いだって、小学生並みに清いわけで。

 サヤ子と何にも繋がってない気がした。