ハルトさんの
紅い唇の端が、スッと上がって
とてもとても綺麗な 微笑 ―――





…… 女の子は

ガタガタ震えながら後ずさって
結局その場にへたりこんだ







「 … ぐにゃぐにゃと

芯も無い 礼儀も無い ―――
本能だけで動いてるお前達は
原始生物と同じなのかな…



でも、仕方がないよね…



その からっぽの箱に
この世で本当に大切な物を
誰も詰めてはくれなかったんでしょう?





夢… 希望… 慈しみ… 冒険…
友情… そして、涙と痛み ――――




大人達は
"この平穏な場所が世界です
この中だけで遊びなさい"と
造られた箱庭の中に
自分の子供達を閉じ込める



"だけど そんなの嘘だ"って
今の子供は、皆 判ってるんだ…

口には出さなくても、絶望してる





――― だって、オマエみたいな大人達が
テレビに日替わりで映ってるんだもの…





汚い現実なんか、誰も見たくない

自由に動けば怒られる

だから、色んな世界へ繋がる
手元の 魔法の扉を開くんだ



刹那だとしても
素敵な事を知りたくて
そんな場所に繋がりたくて
近くに仲間がいないから
精一杯に、指を伸ばして…





―――… でも キミらは少し違うね



無数に扉はあるけれど
"探し出そう"としなければ
押そうとしなければ鳴らない
暗闇に置かれたチャイムを押して



…… 自ら"選んで"入ったんだものね… 」






「 そ… そうだよ?!
じ…自分でわかってて
行ったんだからいいじゃん!!
そんなの自由だよ!!

私がマジムカついてんのは〜!
なんでこのオヤジ
人を置いて先に逃げるとか
ヒキョーなマネすんのかって事で!! 」





「 …可哀相だね お前は 」