ソイツは
ライトのあかりでも分かるくらい
顔を歪ませ真っ赤にして
ハルトさんに向かって飛び掛かった
だけど、ホントの目的は
ハルトさんの横のイス
背もたれにある、黒いコート
ソイツは闘牛みたいに、それに突っ込み
ハルトさんは、足をかけて
サッとコートを取り上げる
――――― また、転倒する鈍い音
「 ちょっと 難しかったかな?
――… なら次は
"ごめんなさい"の練習をしてみようか
ヒトに頭を下げる ―――
これもすごく、大切な事だよね…
…… お前も気に食わない事があると
ホテルで同じ事
女子高生達にしてたんでしょう…? 」
ハルトさんの足はギリギリと
呻くソイツの、頭の上
「 ―――― 殺しちゃってよっっ!!!
そんなサイテーの奴っっ!!! 」