「 あ ああ
――― なんだ…
ハルちゃんはせっかちだなあ
食休みの時間くらいくれよ
早飯は美徳というが
あれは、今の時代にはそぐわないよ
遅れているというかさあ
ビジネス新書にも
それはしっかり書かれていて――― 」
… お腹
いっぱいになったせいだろうか
ソイツは喋りながら
ハルトさんの横に移動して来て
なめるみたいに、ジッとカラダを見てる
「 ――… や、やっぱり
ハルちゃん綺麗だなあ
… なあ
"交通費" 上乗せするからさ… 」
「 ではハジメさん
まず "ご馳走様"を言いましょうか 」
「 ―――… は? 」
眉を歪めながらも笑って
ハルトさんの手を握ろうと
腕を伸ばして来る、キモチ悪い顔
触れるか触れないかの寸前
ハルトさんは、とてもキレイにニコリと笑い
"――― ハルトさんに触らないでよ!!"
そう叫び出しそうになったと同時に
とても鈍い音と
椅子が倒れる激しい音が
食堂の天井に響いた