彼はしばらくじっとしたあとうなだれていた顔を上げ私をみるなり


キス


してきた。


「え?んんっ」


強引に抱き抱えられて濃厚なキス。


頭がクラクラしながらふと《レモンの味がするなぁ》なんて思って
慌てて彼を押し退けた。


「何すんのよ!」


腹のそこから叫んだ。
人前で突然キスされて。
怒って当然でしょ?


すると彼はスーッと立ち上がり
ひらひらと手を降りながらホームを後にした。


ホームに訳のわからなくなっている私をおいて。


あっけにとられながら必死に忘れようと心がけて、私は学校へ向かった。