キーンコーンカーンコーン…

遠くのスピーカーから、
無機質な音がして、現実に戻される。

やば、5時間目…。

鳴り響くチャイム音。
目の前に広がる無残な本たち。

…うん、無理だ。

冷静に判断し、まず
本をまとめる事から始める。

あぁ、彼方くんが自分の
気持ちに気付いた所だったのに…。

惜しい気持ちで桜田先生の
『君にゴールイン!』を
他の本とともに重ねる。

彼方くん、望ちゃん。
またすぐ借りるから待っててね。

本の中のキャラと約束を交わし、
扉を開くと…

「那月……?」