今一瞬、グレー兎さんが
見えた気がしたんだが。

想像してほしい。
可愛くて、癒される兎さん。
ニンジンを咥え、
一生懸命に頬張る姿。
だけど
目が、笑ってない。
瞳の奥が見透かせない。

……恐ろしい…。

「ガッコ行こ~?」

いつもの笑みを
浮かべてくれる乃愛。
お帰りなさい、白兎さん!

「う、うん…。」

心の中は、複雑だった。
でも、嬉しかった。
アタシがいる…って
言ってくれて。
私は、1人じゃない。
1人じゃないんだ。

それからは、
那月を避ける日々が続いた。