「ふーん…。」

那月はぺらぺらとページを捲り、
怪しく微笑んだ。

 「『彼方の唇が私の唇を裂く。
  ついばむ様に、それどころか
  だんだんと熱を増して
  侵入してくるそれは
  私の躰も心も溶かしていった。』
  溶かされるんだぁ?」

なんという事だろうか。
那月は『君にゴールイン!』の
ワンシーンを読んでいる。
しかも…ちょっとアレな所。
私まだ読んでなかったのにぃ…。

「知らないっ!」

恥ずかしくなってそっぽを向いたが、
後ろから足音が近づいてくるのを感じ
振り返ったら…

「試してみようか?」