「あの男…何で……」



流羽が小さな窓から外を見ながら何かを言った。


もう、飛行機は出発直前。

激しいエンジン音で、流羽の声も聞き取れなかった。


「何で、カーテン閉めようとしてるわけ?」


最後くらい、景色を目に焼き付けておきたかったのに、流羽はスライド式のカーテンを降ろし始めた。



「凛の肌が紫外線でやられちゃうから…」



目をキョロキョロさせながら、言う流羽。


長い付き合いの私には直ぐに、嘘を付いてる事は解った。



ガラッ!



もう、離陸体制だっていうのに、私は立ち上がって前のめりになりながらカーテンを開けた。



「…………!」