「す………」
「ウルサイッ、ウルサイッ!ウルサイッ!」
凛は、呪文の様に大声で言葉を繰り返す。
あの時と同じ状態だ。
初めて会って、初めて倉庫へ連れて行った時と。
「凛、落ち着い…」
「ウルサイッウルサイッ、オマエノコトナンテオレハ………んんっ…」
その先の言葉を聞きたくなくて、俺は強引に唇を塞ぐ。
「ヤメ……ハアッ、テッ……」
「ダメ、許さない。」
「………んぅッ。」
「ぅうっ……もう、イヤッ、だ。」
咽頭を上げながら、凛はいつの間にか泣いていた。
「私は闇を生き続けないといけないの…ッ光のアンタは私の近くに居ては…ダメ。」
「凛……、俺は凛の事…」
「もう、何も聞きたくないっ!!」
凛は耳を塞ぐ素振りを見せる。
そして、その場で立ち上がった。
「り、ん?」
「アンタとはもう、サヨナラだ。」
タッタッタッ…
勢いよく、走り去る凛の腕を何故、掴めなかったのだろうか。
凛、凛。
俺は凛をアイシテル。
゛凛は最高の仲間だよ。゛
もう一つの輝く光逹
Side凛start
「銀くぅん!何処行くのおお?」
「銀………?」
全速力で走り抜ける私を不思議そうな表情で見る翔とリオがまだ校庭でビラ配りをしていた。
「………ッ」
私は唇を噛み締め、横をサァッと通り過ぎた。
今、振り返ってはダメ。
きっと、少しゴツゴツした大きな腕にすがり付いてしまう。
あっという間に、私は校庭を出ていた。
早く、アイツらから少しでも遠い場所へ行きたい。
私はその一心で足をどんどん早めて行く。
「…………えっ?」
幻覚が見える。
何で、何でアイツ等が…
私の歩く道の先には、
・
私の元仲間逹。
きっと、もう私を仲間とは呼んでくれない…筈の元仲間逹。
「凛、久しぶり。」
無表情だけど私には解る。
目の奥がキラキラしているもの。
「流羽…なんで…」
滝川流羽【タキガワルウ】
私のファーストキスを奪った奴、そして現・龍蝶副総長。
キラキラ輝く、金色の髪に甘いマスク。
「当たり前でしょ、だって凛は仲間だから!」
ニッコリと笑う、奏。
常にハイテンションなムードメーカー。
オレンジ頭のタレ目。
川嶋奏【カワシマカナデ】
情報係現・龍蝶幹部。
「すず、僕、すっごく寂しかったんだからね!」
亮が、ウルウル涙を目に溜めながら言う。
身長は私と同じくらい。
女の子以上に可愛い男の子。
住谷亮【スミヤリョウ】
特攻隊現・龍蝶最年少幹部。
「アンタ逹、ヤメテよ。」
「何が?」
「アンタ逹から、私あんな一生懸命離れたのに何で来ちゃうのよ!アンタ逹が居ると私‥‥」
「私‥‥?」
「光に呑み込まれてしまう。」
私は拒絶する。
ここで流されちゃダメ。
絶対、ダメなのに。
「呑み込まれちゃえば良いじゃん。」
腕を大きく流羽は広げた。
反則だよ、こんなの。
皆の笑顔見せられて。
飛び込まないわけないじゃん。
「皆、大好きッ………」
ガバッ
私は光に包まれた。