…なんていうんだろう、直感みたいなものだ。
会った瞬間にこの人の隣なら安心出来る、楽しく過ごせる、そう思った。
まだ幼さが残る元気な笑顔に大きな手、少し茶色がかった短めの髪、サッカーの試合中に見せる真剣な顔。
青山拓海をゆかりが目で追うようになったのはいつからだったか。
ある時、自分の目線の先にいつも彼がいることに気付いてしまった。
好き、なんだと自覚した。
しかし、どこか憧れの目線で拓海を見ていたので、気持ちを伝えようとは思わなかった。
だから、ゆかりは拓海から突然付き合おうと言われた時、冗談だと思って笑い飛ばしたのだ。
後日、咲と瑞穂から、あれは本気の告白だったらしいと聞いて焦って話をしに行った。
真っ赤になりながら話を切り出したゆかりを、拓海は嬉しそうに見て笑っていた。
それから3ヶ月ぐらいが経つ。
今、人並みに恋が出来て、とても幸せだと思っている。
願わくば、このままこの幸せが続いて欲しい。
教室の窓からグラウンドを眺めながらゆかりはそう思った。
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