「…私はね、死の直前にあるお願い事をしたの。それはとても罪深い願い事だったんだけど………。死んでからしばらくの間の記憶はないの。死後の国なんてところに行った記憶もない。気付いたらあの湖のほとりにいたの。隣には蓮がいて……。それから何千年もの間ずっと、ここにいるの……願いが叶うのを待ってるの」



「藤壺は……強い意志を持ってた。……………生きている間、後悔したことがねぇって奴はほぼいない。誰だって後悔しながら生きてんだ。そのほとんどの奴が死の間際、あの時ああしてれば良かった…こうしてれば良かった……って思うんだよ。………思ったって、後悔したって、もう死じまうから遅えのにな……。藤壺もその一人だった」




蓮の話しを聞く藤壺の表情は薄暗い明かりの中でよくわからなかったが、俯いているその顔に先ほどまであった柔らかい笑みは消えていた。