「説明してやるからちょっと待ってな。それと俺の名前は蓮」

「……れん?」

「蓮って花あるだろ。こんな字のやつだよ…」



言いながら蓮は淡く光る指先で宙に文字を書いた。

宙に光りの文字が残された。

目の前で文字は淡く光り、ゆかりの顔を明るく照らす。

目を丸くさせ驚いている様子のゆかりを見て、蓮が文字を一吹きして消した。


途端に夜が戻り、灯りは月だけになった。




ゆかりの視線が蓮と重なる。



「待ってたよ、ゆかり。藤壺起こしてくるから待ってろよ」