普段の一輝にあの厳しい表情を見ることは滅多にない。


一輝は桜並木の下をゆかりの右隣に並び歩調を合わして歩いている。

ゆかりの視線に気が付いたのか笑みを返してくる。




…また。またこの感覚。


じわじわと染みてくるような懐かしい気持ち。

胸が締め付けられるような切ない気持ち。


ゆかりは一輝に知られないようにため息をついた。




「2年前と同じだね」

「え?」

「会ったよね、ここで」

「覚えてたの…?」

「印象的だったからね。道の真ん中で危ないなと思ったんだよ、確かあの時も」

「…そんな第一印象やだなぁ」



二年前から成長してないのか。

そんなことを思いながら苦笑した。