蓮の紺碧の瞳が、藤壺の後ろ姿を映す。


生前、叶わぬ恋に身を焦がし、罪の意識に苛まされ、それでもなおどうしてもと、想い合うことを許されなかった恋しい相手を、藤壺は死の間際に想った。



会いたい…
もう一度会いたい…
この世でなくてもいいから…





その願いは天へと届き、蓮が黄泉の国からここ時の国へと藤壺を連れてきた。


それからもう何千年も、藤壺と蓮はこの国で二人、願いが叶う日を待っている。


湖のほとりでしゃがむ藤壺の姿を見て、蓮も緑の中を藤壺の許へと歩いた。