吸い込まれそうな漆黒の瞳。
なぜか、どこかで会ったことがあるような気がした。
かっこいいと評するよりも、整った顔、と言ったほうがしっくりくる顔立ち。
男性に綺麗という言葉を使うのはおかしいかもしれないが、その言葉がピタリと当てはまるような整った顔立ちをしていた。
こんな人に今まで会ったことはなかったから、知り合いのはずはないのに、ずっと昔から知っているような気がした。
目をそらせなかった。
そのうちに、またゆるやかに桜が舞い始めた。
それからやっとお互いが同じ高校の制服を着ていることに気が付いた。
見つめ合ったままではおかしいと思い、ゆかりは軽く会釈をして通り過ぎた。
濃い桜の香りが漂う中、なぜか懐かしい気持ちと切なくなるような胸の痛みを感じた。
それが私と市原一輝の最初の出会いだった。
その後、拓海と知り合って、一輝とは少し話をするようになった。
でも私は一輝と話をするたびに戸惑った。
あの瞳をずっと見ていると、なぜかどうしようもなく懐かしい気持ちが湧き上がって、まるで恋でもしてるかのような切なさに胸が痛んだ。
そしてその感覚は消えずに、今も一輝と話すたびに感じている。
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