千華side

「・・・・な・・・めだ」

何?聞こえないよ。

「だ・・・・・めだ」

だめ?何がだめなの?

「そっちに行くな。戻って来い。お前の行くべき場所はそこじゃない」

聞いたことある声。

「誰?」

綺麗な顔をした男の子。
その男の子はにっこり笑って光の中に消えていった。
戻らなきゃ。
でもどこに行けばいいんだろう。

「うわっ!」

「生きろ」

そのまま光に包まれてまた真っ暗になった。

「・・・・はな。ち・・・はな。千華!」

「良かった・・・目覚めたのね。うう・・・・」

「雪野千華さーん。誰だかわかりますか?」

コク。

喉には管がつながれていて、手には点滴、酸素マスク。
お母さんやお父さん達は頭には帽子にマスク。
ほらあれだ。
よくサスペンスとかでみる生死の間をさまよっている人が入る所。
関係者以外立ち入り禁止ってやつ。
あたしそんなに悪いんだな。

「障害は残っていませんね。でもまだ安心はできません。ゆっくり娘さんと話してください」

「はい。ありがとうございます」

「ではこれで。また伺います」

「お母さん・・・・お父さん・・・・駿介君は?」

「きっと、大丈夫よ」

お母さんは目に涙をためている。

「あたしは何日意識がなかったの?」

「3日よ」

「3日・・・・」

お母さんの目の下にはクマができている。
ずっとついていてくれたんだ。

「あたしには何が起きたの?」

「居眠り運転していた車がね・・・・つっこんだのよ」

「他にいたでしょ!男の子2人が!あの2人はどうしたのよ!」

「駿介君ってゆう子は大丈夫なの。軽い怪我なんだけどね。雄哉君って子は・・・・もうダメだろうって」

「あたしを・・・守ったからだ・・・・・うう」

言葉がでない。
あたしのせいだ。
あたしが変わればよかったんだ。
雄哉君は皆から愛されて・・・・・・あたしはもう長くないしどうせならあたしが死ねばよかった。
駿介君に会わす顔がないよ。
そなまま眠りについた。
昔の夢をみていた。
ずーっと昔の。