「すいません!二色雄哉って人の病室どこですか?」
「二色さんの知り合いかしら?」
「はい。友達です」
「よかった。二色さんの身内の手がかりがなくてね。親御さんに連絡ができなくて困ってたのよ」
「ケータイとかなかったんですか?」
「ええ。粉々でね。かばんも踏まれてて生徒手帳とかもびりびりだったのよ。ノートに二色って書いてただけで・・・・」
「それで雄哉はどうなったんですか?」
『チリリン、チリリン。緊急緊急。病室408、病室408。患者様の様態が悪化しました。医院長野田先生。至急4階408まで』
「408!?二色さんの病室よ。あなたにも二色さんの事聞かなくちゃならないからついてきてくれるかしら?」
「はい」
雄哉、死ぬなよ。
雄哉が死ぬなら俺も逝くから・・・・。
「マスク、手袋、帽子を着けて!しっかり衣類に消毒液をつけてね。先生!二色さんの友達を連れてきま・・・・・した」
「午前10時13分。ご臨終です」
「は?おい!おい!雄哉?目開けろよ。なぁ。俺を置いてくのか?雪野の事もよ。なぁ、そうやってまた俺を騙すつもりか?冗談いいから目あけろよっ!」
「君この子の知り合いかね?」
「あぁ・・・・」
「親御さんの名前や住所わかるかい?」
「こいつに親はいねぇよ」
「どういう事だい?」
「こいつん家の親は2人とも借金つくって逃げたんだよ。雄哉と兄ちゃん残してな」
「親戚とかはいないのかい?」
「みんな縁を切ったんだ。生活費は雄哉と兄ちゃんが稼いでる」
「お兄さんの連絡先は?」
「知ってます」
「教えてくれるかね?」
「はい」
それから20分もかからないうちに雄哉の兄ちゃん、功さんは来た。
空さんは5歳上で大学3年生。
頭が良くて高校は特待、大学は推薦で入った。
大学は医療学科で1番の成績だと雄哉から聞いた。
すごくいい人で俺を実の弟のように慕ってくれた・・・・・。
「すません。遅くなりました」
「いえいえ。お疲れ様です。二色功さんですよね?」
「はいそうです」
功さんはずっと雄哉を見ている。
悲しそうな顔で。
「雄哉・・・・・」
「間違いないですね」
「は・・・・い」
初めて見た。
功さんの泣いてるところ。
いつもニコニコしている空さんの泣き顔。
雄哉・・・今日の顔はお前の大好きな雲1つない晴天だぜ。