「雪野がそんな事を・・・・・・」

「えぇ。ついたは。ここよ」

「えっ・・・・ここって」

「そう。緊急患者が入る所よ。関係者以外は入れないのよ」

「うぅ。雄哉が命をかけて守ったのに・・・・くっそ!」

「駿介君・・・・雄哉君の事は知ってるわ。あの子が千華に覆いかぶさったから千華は少ない怪我ですんだ。でもね、駿介君も千華の頭を抱きしめてくれたから千華は助かったのよ。本当にありがとう」

涙が出た。柄にもなく声を上げて泣いた。
千華のお母さんは俺をそっと抱きしめて聞こえないように泣いていた。
その時俺は思った。
千華に何かあったんだって。

「駿介君。私先生に頼んでくるわ。駿介君が中に入っていいかって」

「え。でも・・・・」

「いいのよ。私は嬉しいの。千華のために泣いてくれる子がいるんだって思うと」

「俺も雪野に何度も助けられています。だいっきらいだった学校が大好きになりました。雪野の前でわ素直に笑えました」

「ありがとう。じゃあ行ってくるわね」

「はい」

ドン!
「くっそがぁ!どうしてだよ。何で雄哉がこんな目にあうんだよ!好きな女のために命捨てて。それでも雪野は健康じゃねぇ!俺が死ねばよかったんだ。う・・うぅ」

思いっきり壁を殴ったから血がでた。
雄哉・・・・・お前はどういう気持ちで雪野を守ったんだ?
お前は迷いなく雪野をかばったな。
俺は足がすくんだよ。笑っちゃうだろ?
好きな女1人守れなかったんだ。情けねぇな。
雄哉お前生きてるんだろ?本当はさ。
どーせ頭打ったとか言っておでこに絆創膏とか貼ってんだろ?
それで言ってくれよ。
「男のくせに情けねぇんだよ」
って。お前の口癖だろ?絶対お前には言われたくねぇのによ。
でも・・・・違ったな。
やっぱりお前はかっけーよ。

「駿介君?」

「あっ。すいません」

「優しいのね。自分も怪我してるのに人のために涙を流せるなんて」

「いいえ。男が泣くとかかっこ悪いですよ」

「そんな事ないわ!すごくかっこいいわよ。駿介君、千華は大丈夫だから雄哉君を見に行きなさい。千華は持病があるからそれが悪化してだけ。事故とは関係ないの。だから安心して。2、3日もすれば一般に移れるから」

雪野のお母さんそんな無理しなくていいから。
目が泣いてるじゃないか。
でも、ごめん雪野。俺行くわ。

「すぐ来ます!絶対来ます。1目みたら帰ってきますから。どーせ雄哉はニコニコ笑ってゲームでもしてますよ」

「千華・・・・・あなたが来るのを待ってるから早く来てあげてね」

「約束します」