同時に
「誰が好きだって~?」
と、バカみたいに大きな声が部屋中に響いた。

「うゎぁー!ちょっと、空ー!!
 毎回、毎回なんなのよ!
 びっくりさせないで!
 いつもノックくらいしてって言ってるじゃん!
 大体ね!
 ここだって女の子の部屋なんだから!」

「女の子?そんなのどこにいるのー?」

「ここよ!ここ!見えないの?」

「お前が女の子?男よりでかい奴が言うな。」

あっ。それは、私のコンプレックス。
身長174㎝。
別になりたくて、なったわけじゃない。

このバカでデリカシーのかけらもない男が
坂口 空。
私の幼なじみ。
いちいち、声がでかくて
元気だけが取り柄の彼。

たぶん、黙ってればモテるタイプ。

でも、なんだかんだで
私の気持ちを一番、理解してくれる
人なのかもしれない。


「うるさい!バカ!嫌い!」


「っ!
 人が塾のお迎えにわざわざ
 来てやったって言うのに!
 可愛げないな!」