「今日はありがとう…、私もう帰るね」

「え?」

「明日、遊園地行くから正午に駅前ね!」

「正午?」

「うん、それじゃあ!」

「え、ちょっと!!」

藤井さんはプリクラを片手に、もう片方をぶんぶんと振って走って行った。


…いや、急でしょ。
帰り方が。

何でいつも、こう突然なんだって。
走って帰る必要もないし、俺はもう一緒にいるって言ってるんだから…。


送ってくとか、いや、したいわけでもないけど。
だけど、一応男だしそれぐらいはするのに。


そんな一方的に押し付けた約束しなくてもいいのに。


「…帰るか」


頭を掻きながらぽつりとそう呟くと、俺は帰路へと向かった。