「ねえ」

「え?」

藤井さんは片手に持った飲み物のカップを置くと、体を前に乗り出した。


「どんな死に方がいいと思う?」

「え」

「私、わかんないし…決めて」

「………いいの?」

「いいの」

「じゃあ、リスカか飛び降りじゃないかな」


ふむと頷くだけで、藤井さんは視線を俺から床へ落とした。

確実なのは、高層マンションの上から飛び降りだけどね。
四階とか五階とか、中途半端な高さでなく、確実に死ねる高さから。
と、心の中で呟く。


「…じゃあ、リスカでいい?」

「ああ、藤井さんがいいならそれで」

「うん、リスカって時間かかるんでしょ?」

「かかるよ、死因は出血多量だからね」

「…痛い?」

「まあ、それなりに痛いんじゃないかな。
深くないと傷口なんてすぐ塞がるし」

「そっかあ…」

「お酒飲んで、睡眠薬飲んで、切った手首お風呂に浸けてたら死ねるんじゃないかな」


俺が淡々と言う言葉を聞いて、想像したのか藤井さんは自分の体を抱き締めていた。
顔は少し、青い。