『俺も好き』
だなんて、偽善の様な言葉。


『死なないで』
だなんて、藤井さんを否定するような言葉。


言えるわけがない。


偽物なんか、きっと彼女は必要としていない。
俺でいいんだ、きっと。

今までの俺で。



「暗くなっちゃったね」

「そうだね」


さっきまであんなに明るかったのに、日が暮れるのは早い。
街灯も、お店も少ない所為か、余計暗く感じた。

だけど、まだ時間は六時とかだ。
ホームで電車を待ちながら、俺と藤井さんは並ぶ。

その手は繋がれたまま。


「明日、何時にしようか」

「……」

藤井さんが初めて俺に時間を尋ねた。

いつも、時間も勝手に決めて。
勝手に一人で帰って行ってしまうのに。