「クラスに馴染めなかったのは…自分がどこか、彼女達に一線を引いてしまうから。
それはわかってた。
だけど、どうしても私は彼女達のように笑えなかった」


俺は黙って、その話を聞く。


「いつも遠くを見てる事が気になってた。
彼なら…わかってくれるんじゃないかって直感的に思った」

「…俺?」

「うん。それで、ずっと見てたら…いつの間にか好きになってた」

「………え」

藤井さんは目をまん丸にしてる俺を見て、小さく笑う。


「気付かなかったなんて、鈍いよ。
ずっとずっと好きだったんだよ」

「………」

「でも、死ぬ時…側にいてくれるって言葉が嬉しかった。
死ぬなじゃなくて、死んでもいいんじゃないって言葉が嬉しかった」

「…ふじ…」

「私ね、本当にもう、願い事なんてない。
この一週間。
ずっと、一緒にいる事が出来て。
今まで感じた事もないぐらい幸せ」

「…………」


どうして。

俺はわかる事が出来なかったのだろう。


死ぬ時に側にいるって。


幸せなようで。
どれだけ、残酷なのだろうか。