「知ってた?」

「え?」

机に頬杖をついて、藤井さんが俺を見る。


「あん時、隣で結構嬉しかったんだよね」

「…そうなの?」

「私さークラスに馴染んでなかったんだよね」

「え」

その言葉に俺は目を見張った。
初めて知った事実。


「ねえ、不登校になってから久しぶりに再会した時さ。
私が秘密って言った事覚えてる?」

「秘密?」


記憶を辿るが、思い出せない。

そんな俺を見て、藤井さんは怒る事もなく笑う。


「本当に羨ましかった」

「………」

「私、解放されたかったんだ」

「…解放…」


その秘密、については思い出せなかったが…。
学校で飛び降りした人が解放されたのか、そう彼女が言った事を思い出す。


あの時、肯定したわけではなかったけど…はっきり否定をしていなかった。