『美緒、あのな、あのな』



『うん、どうしたの?』




あなたの話しを聞いていたら、すぐに駅に着いた。


あなたが隣にいると、時間が過ぎるのがあっという間だった。




あなたが笑って、あたしも笑う…。


あなたがあたしに笑顔をくれていた。









「…ハァ」



人酔いしそう…。



電車の中は香水や汗やたくさんの匂いが混じって気持ち悪い。




そういえば…あの人は香水が嫌いな人だったな…。



『人工的な匂いだから嫌い!』



駄々っ子のような言い方をするあなたを見て笑った。



思い出してまた自然に口元が上がった。









でもすぐに現実に戻る。


何思い出してるの…。



もうあの人はあたしの隣にいないのに…。

関係ないのに…。