「あ、あの」
「あ、はい…」
声を掛けたのは、さっきこの町を教えてくれた駅員さんだった。
「さっきはありがとうございました」
「い、いえ。それより…」
「はい、なんですか?」
「あの、あなたは一目惚れって信じますか?」
「は?」
「あなたに一目惚れしたって言ったら、笑いますか?」
「え?」
「あなたに一目惚れしました」
あたしの居場所…。
本当に欲しかったあたしの居場所はもうない。
だから欲しい。
尚が言った
『美緒の居場所は俺じゃないけど、きっと美緒の居場所はすげー心地良くて、温かくて優しい場所だから。
だから、大丈夫だよ』
すげー心地良くて、
温かくて、
優しい場所。
本当のあたしの居場所を。
-END-