「さようなら」
「あぁ…さようなら」
最後はやっぱり良くみられたい…今できる最高の笑顔を最後にみせた。
そして、駅とは反対に向けていた身体を振り向いて駅に向けた。
「尚、元気でね」
「あぁ…」
やっぱりあの頃の尚と変わってないね…。
いつも表情に気持ちが出る尚。
『美緒、やべー!嬉しすぎて涙が止まらねーよ!』
あの時はそう言って笑ってたね…。
ねぇ、尚…?
今のその涙はなんの涙?
悲しい?嬉しい?
もう顔が見れないあたしには分かんないや。
あたしは一歩前に進み、歩き始めた。
尚は小さな声で言った。
「ごめんな」
あたしは聞こえない振りをして前に歩きだした。