何してももうダメだね…。



気持ちを伝えても、

居場所を願っても、


もうあなたはあたしに振り向かないんだね…。




足下から視線を上に上げた。



「尚…今までありがとう」



「俺も…ありがとう」




あたしが大好きだったあなたの笑顔。


変わってない…。



それだけで充分な気がした。



「あたし、そろそろ帰るね」



「…うん。また、なんかあったら来いよ。ずっとここにいるから」



「ありがとう。でも、もうここには来ないよ」



「…そっか」



あなたに甘えてたらずっと成長しないままあたしはあなたを忘れられなくなってしまうから…。

だからもうここには来ない。



「あたしはあたしを大切にしてくれる人を見つけるよ」



「うん、頑張れ…は言えないかな」



「そこは言ってよ…」



好きな人の“頑張れ”は何よりも効く薬なのに。



「過去の大好きな女が他の男のモノになる応援なんて…ヤキモチやいてできねーよ」



やっぱり尚は尚だ。


「やっぱり大事な時に格好がつかないね…」



「うるせー…」



自然と口が上がる。


「…そのヤキモチは応援してくれてるって思うことにするよ」



「ん…」


真っ直ぐ尚を見つめた。