視線がだんだん下がっていって足下にいく。
あたしの居場所ってどこなんだろ…?
そう思った瞬間だった、
目の前の影が動いた。
「なぁ、美緒」
久しぶりだ…彼の手の感触が頭の上で感じる。
「確かに、今の俺は美緒が知っている俺じゃない」
「…うん」
あたしが知ってる尚はいつも大事な時にヘマをやらかしたり、格好がつかなかったり、決してしっかりした人とはほど遠い人だった。
でも今目の前にいる尚は
「でも、美緒が知っている俺もちゃんと残ってる。
美緒が好きになってくれた俺も俺で、今の俺も俺で、1人の男だ」
「…尚、成長しすぎだよ」
しっかりした大人になっていた。
そんな……
そんな成長してたら忘れようにも忘れられないよ…。
拳に力が入る。
「美緒の居場所は俺じゃないけど、きっと美緒の居場所はすげー心地良くて、温かくて優しい場所だから。
だから、大丈夫だよ」
「…尚」
あたしの居場所はやっぱり違う所なんだね。
あたしの居場所は尚だと思ってたんだけどね…。
ううん、そう願ってたんだ。