尚が謝る分だけ、自分の価値が下がっていく気がして仕方がない。
「尚は今、働いてるって…」
無理やり会話を変えた。
「あ、あぁ…今は花屋で働いてる」
「花屋…さん?」
「うん…彼女の家が花屋でさ、そこで働いてる」
顔を赤くして照れる尚。
「…そうなんだ」
あたしが知っている尚は目をキラキラさせて“医者”という夢を追いかけていた。
でも今目の前にいる尚は顔を赤くして照れて“花屋”で働いているという。
「もう…あたしが知っている尚じゃないんだね」
ずっと過去の尚を想い続けていた。
ずっとあなたの隣があたしの居場所だと信じて忘れられずにいた。
なのに……____
「あたしの居場所…違ってたんだね」
あたしのとんだ勘違いだったんだ。