「…美緒、泣かないで?」



「…尚」



「美緒…」



「ごめんなさい…ごめんなさい」



「なんで、美緒が謝るんだよ」



いつもあたしが泣いたら優しく笑って涙を拭いてくれる癖を久しぶりに感じる。



「美緒?あの時さ、美緒が断った後1人でここに来たんだ。

緑いっぱいで落ちていた気持ちも落ち着いた。


そんな時…出会ったんだ」



一瞬にして、申し訳なさそうに切なそうな目で見つめてきた。




「…今の彼女と?」



「ん…」



「…そうなんだ」













別れは突然やってきた。



……………______________



『…ごめん、美緒。別れてくれ』



『え?…どういうこと……?』



『俺…他に好きな人ができた』



『…嘘』



『ごめん…今までありがとう』



『尚っ!』



…………_____________




去っていく背中に何度、名前を呼んだだろう。


涙で見えなくなっていく背中に何度、帰ってきてほしいと願っただろう。



でも彼は…あたしの元には帰って来なかった。